羨ましきもの

子供の頃に読んだ物語。
ある少年が、山の向こうにあるオウチの窓が、朝になると、金色に輝いてるのに憧れ、ついに決心して1日がかりで行って見ると、実は、その家の子から「驚いたね。自分にも全く同じ存在の場所があるんだ…」と告白されて、ええっ!
相手の少年が指差す方向を、ふと見ると、な、なんと、自分の家の窓が、夕日に照らされ、金色に輝いていた… みたいなオハナシに、へぇ〜〜っと感心。えらい印象に残ってるんですが、そういうことって多いのかもしれませんね。
(自分が持ってるものの価値には、意外と気がつかない意味で…)
ある年度、帰省した際。母から「いいわねぇ、一緒にお買い物する楽しみがあって。羨ましいなぁ…」みたく言われるので、パチクリ。思わず内心。「な〜に言ってるのぉ。いつでも一緒。どこでも一緒で、近所や親戚でも有名な夫婦がぁ…」と思ってたら
「だって、一緒に選んでくれないんだも〜ん。無理矢理、お願いしたら、ろくに見もしないで『え〜い、そっちそっち…』と、あてずっぽうに言うのがケシカランじゃない。それに(母が大好きな)コーヒーも『大和魂が薄くなる』とか『クスリと思って飲んでいる』とか、ブツクサ言いながら飲むし… もう、プンプン」とムクレてるのに、思わずブハッ!
確かに、独身時代。母は、私と一緒に買い物に行くのが、それはそれは楽しそうでしたもんねぇ。(こんなに遠方に離れてしまうのなら、もっともっと、一緒に行っておけばヨカッタ)コーヒー・ショップで、一緒にケーキセットを頼むと、まるで少女みたいな表情で大喜びしてたしね。いや、だから、そういう可愛さゆえに、終生、あそこまで愛されたんでしょうが。
父が亡くなって随分になるのに、未だラブラブだしなぁ… (毎日。仏壇の前で、般若心経をあげたあと、今日あったことを逐一、報告してるし。お墓参りも、まるで遠足みたいなノリで、大喜びで行くし… 高齢にもかかわらず、山道を嬉々として登る登る)
私は、どんなラブ・ストーリーより、親の昔話の方がロマンチックなので、大好きなのでした。思いっきりの実話(!)だけにね。