『月の輝く夜に』

月の輝く夜に [DVD]
十年ぐらい前かな? 女性誌方面で、えらく話題になってたので、アカデミー賞受賞作品という興味も手伝い、観たのですが「…ああ、好きだなぁ… これぞ、“大人のオトギ話”!」と感じた記憶あります。
(満月の夜には、何かが起こる?!)
素朴な話。女性なら「突然、美しく変貌を遂げる」シチェーションって、問答無用でワクワクしてしまいますよね。コミカルな下町物語なのもマル。
最初は、ボサ頭に白髪交じりの“サエない未亡人”だった、シェール演じるヒロインが、『ローマの休日』よろしく、美容院でアッと驚く大変身!をとげ、周囲の目つきまで激変。口々に賞賛される場面は、何度みても、胸ときめいてしまいます。
それに、何より、“庶民の娯楽”としてオペラが浸透。たとえ日頃は、下町でパンを焼いてたとしても、ちゃんと正装してメトロポリタン・オペラ劇場を訪れる心意気に、ひゅうひゅう。「ああ、これこそ、文化だよね」と、豊かさの懐深さ、を感じてしまうばかり。
そして、今回みると、歳月の分、「また別のところに目がいった」のも楽しくて。
『勝手にシネマ』の予言通り「殴られ上手(そして相手の女優さんの魅力を、より引き出す)な男優は大成する」を地でいき、ニコラス・ケイジは、うんとビッグになって、「をを、ビンゴぉぉ!」
夫に浮気され、人生に諦観した、ヒロインのママン。一見、地味な脇役に見えるけど、無視できないオーラに「…ただものじゃないナ…」と感じてたら、やはり名女優だった事実にも、ちょっと嬉しくなったりしてね。若い娘にちょっかい出しては、すぐに振られる、情けない大学教授も、諸行無常というか、実にイイ味出してること…
こういう発見があると、ちょっと年を重ねるのが嬉しくなりますね