『めし』

まずは、クレジットに川端康成の名前を見た時、驚いてしまいました(注:原作は林芙美子)…こういう、お仕事もなさってたんですね。それに、相手が同じ上原謙でも、組み合わせが違うと、こうも「雰囲気が異なる」のかと、ビックリ。
また、よくよく見ると、原節子。ファニーフェイスですよね。それぞれのパーツが大きくて。(熱烈ファンの方、すみません)
だけど、独特の気品とオーラ。登場しただけで「画面が、ぱあっと明るくなる感じ」に、なぜか、『カサブランカ』のイングリッド・バーグマンを連想したのでした。たとえ“市井の主婦”を演じても、一線を画してるぅ!
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それにしても、扱ってるディテールの機微が半世紀以上経っても、全然、色褪せてないこと… というか、今もって、きわめてリアル!なのに、驚嘆。
だって、繰り返す単調な日々。いつしか「めし」しか言わなくなった夫と、そんな生活に疲れ、どんどん気力と自信を無くしていく妻。
そんな中、偶然。舞い込んできた、奔放だけど、ピチピチした姪を前。いまひとつ、引け目を感じて「一緒に外出するのを遠慮」したり… 無意識の内に出てしまうタメ息、等々「…分かるなぁ」と感じてしまったのでした。
なにげないシーンながら、スネて戻ってしまった実家での一場面。奔放っ子ちゃんを批判したズゲズゲ君の「そんな、べたついた感情をぶつけるのは…」みたいな台詞が、ひどく印象に残りました。
前後の関係は忘れたですが、その言葉センス自体、凄いなぁ…と、いたく感心で。
個人的には、日常における斬り口の尋常でなさ。なぜか、成瀬巳喜男ワールドに向田邦子を連想してしまうのは私だけ?
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