『晩菊』

いつも作品を見てのち、ネット・サーフィンしては「なるほどなぁ…」「そういう視点もアリなのかぁ…」と感心しまくってるのですが、失礼ながら、今回は最高に「笑ってしまった」回かもしれません。
いや、基本的に、実に名作!なんですがね。
「日本映画史上、最高の陰々滅々作品」だの「成瀬巳喜男しか撮らない、華麗なる、超・地味地味キャスティング」とか「元・芸者仲間な四婆パワー炸裂!」には、思わずプププ…。かと思えば「この四畳半宇宙の素晴らしさ。すっかり成瀬ワールドの虜に」ってな方もいらしたし… 実に様々だわ。
恥ずかしながら、ずっと、芸達者の双璧。杉村春子沢村貞子の区別がつきませんでした。でも、こう、「しっかり役が割りふられて」はじめて納得させられるものがあったです。密かな収穫ぅ…
みんなして、それぞれ、金、息子、娘、と、執着と煩悩の対象は色々ながら、共通してるのは「なぜか(相手が)ダメ男」って部分でしょうか?
個人的には、細川ちか子演じるシングルマザーの「昔はいろいろあったんだろうなぁ…」と感じさせる艶っぽさが雰囲気で「ほ〜ぉ」でした。
ダメ息子(未亡人に夢中)も、けっこう憎めないところあったしね。(甘えたぁ、な声で「ママ」と呼ぶのは、やや抵抗感だったけど)
あと「男は、もう、こりごりよ。信じられるのは、金、金、金…」だったはずの、ガッチリ、おきんさん(杉村春子)。でも、往年の馴染みな色男(上原謙)がたずねてくると、ウキウキ。それが、実に可愛くユーモラス。だけど、どんどん落胆して、「お金、貸して」ときりだされて、すっかり醒めるあたりの変貌ぶりなぞ、オミゴトです。
改めて、成瀬巳喜男の器量と眼力、おそるべし!
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