時を越えた贈り物

願わくば、叶わないかもしれない想いの場合。現実としては、つとめて後者であって欲しい気がします。とくに祝福やエールの言葉は、時を越えて、心温めてくれるから。特に、落ち込んだ時なぞ、なおさら!
すっごく他愛ないことだけどね。実際、こんなことがあったんですよ。
学生の頃。気がつくと部屋に人がわらわら。友達の友達って感じで、知らない人間がいる〜ぅってことが決して珍しくなく、それもまた、大きな醍醐味でもあったんですがね。ある時。ある子が「なぁなぁ、後生だから、この先輩に、何か食べさせてやってくれん? んも〜、頑固者なんだからぁ… このままでは死んじゃうよぉ」と依頼され、見るからにへろへろ姿への同情もあいまって「あっ、いいよ」となったのでした。
そして、ありあわせで振舞ったら、これが、食べるわ食べるわ… ほとんど、欠食児童(親の口癖)のごとし。よれよれだった姿が、みるみる間に復活!してシャキ〜ンとしていく姿は、まるでギャグ漫画みたいで、プププ…
で、ある時、な〜んか、異様に気合の入ったイデタチのアンちゃん(気志団風を連想あれ)に「よぉよぉ…」と声をかけられてね。ほえ? …だ、誰でしたっけ?
「この前は、えっれぇ世話になったな。おかげで生き延びられたよ。あのさぁ… 俺は、こう見えても、うんと義理堅い。ひとつ、お礼をさせてもらってイイかな」
「……?!」
「残念ながら、金は無いけど、芝居っ気と、面の皮の厚さなら、自信ある。いくぞっ」ってなことで、急に舞台のような大パフォーマンスがはじまったのでした。惜しむらくは、その時点ではピンとこなかったのですが、それは、思いっきり、カリオストロ城のアレンジ版・パロディ… 「不良の力を信じなさい」等々、要するに、ドロボーさんのところを不良におきかえての大熱演!
そして「困った時は、呼んでくれ。地球の裏側からだって、飛んできてやっからなぁ」と言い残して、ブロロ〜ン。去っていってしまい、ひゅるる〜〜っ。
な〜んか、思いっきり呆気にとられたけれど、その「なんとか、お礼を形にしたい」「言霊をさしあげたい」というキモチだけは、ひしひしと伝わってきてね… 不思議と、しんどい時に、漫画みたいな図で思い出してしまい、クスクスなってしまうんですよ。
本当に、アラジンのランプよろしく、バイクに乗って、ドロロンとあらわれそうで… その後、再び目にすることさえ無かったのにね。
あと、何気ない台詞だけど「あんたがいるだけで、飯が断然、うまい」とか「不可能も可能に思えてくるよ」と言われた、その言葉が、でっかいプレゼントだったりして… 願わくば、相手の素敵さ、魅力を発見して、教えてあげられたらなぁ、と思ってしまいます。
場合によっては、言霊は最高の贈り物。モノより、はるかに長持ちして、相手の先を照らす“灯”になりえるように思われて。