あの頃のミライ(食器物語)

思えば、初めてデートってふものを経験した時。やたら校則の厳しい学校の、途方もなく融通のきかない同士だったので、制服&お弁当持参で街をうろうろしました。とにかく、ナニからナニまでビックリ!の連続。
なぜか、デパートの食器コーナーに寄ったんですが、男の子が、「そういうものに興味ある」とは、想像もしてなかったので、目をパチクリ。
親が、食糧難の時代をサバイバルした世代なもので、日常使いに「美しい食器で御飯を食べる」って習慣がなく「へぇ〜〜っ!」 めちゃくちゃ感動おぼえました。
上の記事じゃないけれど、とかく未知数には、思い込みと偏見の連続。
男の子ならアクションかな?と、勝手に思いこんでたので、放課後の名画座通いが趣味だった彼が「不動のベストワンは『ローマの休日』。次が『サウンド・オブ・ミュージック』」と、あまりにもキッパリ断言した時の、カルチャーショック!は、今だに忘れられません。
思春期の摩訶不思議。もともと、彼の変テコというか「他の子と違ってる」ところが魅力でした。移動教室のスケジュールなぞ、ばっちり頭に入ってて、遠くから眺める。ただ、それだけで幸せだったのに…
そんな片想い。カタブツ君とトロ子の組み合わせに「おっ、これはからかい甲斐あるっ」と思われたんでしょうね。「くっつけちゃえ♪」と周囲から画策され、予想外に、うまくいきそうになると、あわてて邪魔をはじめて…
気がつくと、シンプル構造な商店街。デートというより「かくれんぼ」か「鬼ごっこ」に近かった気がします。とにかく、自転車に2人乗りして逃げる逃げる… なんでやねん?
いろいろあって、田舎の高校生は、いつしか、都会の住人になったのですが、ひょんなことから、あの頃、憧れた食器が「B級品として、安く買えるルートがある」と知った時は、感動の嵐!でした。
ひとり暮らしの経験ゆえんか、貧乏性が身につき、「安く手に入った」感動から、はじめて、日常使いに、そういう美しい食器で食事できた時。ものすご〜〜く贅沢な気分になって震えました。たとえ、それが、テイクアウトの王将ギョウザだったとしてもね。
やがて、時は流れ、その器で新婚のパーティもしたり、さらに時は流れて、四国に橋がかかり、ノストラダムスの予言はハズれて、今では何でも買えるようになったけれど、いまだに、自然と、その食器に手が伸びてしまふ。
ただでさえ、B級品。微妙な線がズレてたり、鉄粉が入ってたり… それに、年月が加わり、さらに、ヘビィユースのあまり、途方も無い姿になってるんですが、ますます愛着は深まるばかり。
ふと、ラジオから流れてきたSMAPの『夜空ノムコウ』じゃないけれど、「あの頃のミライ」は、なかなか捨てたものじゃなかったかも、と思わずしみじみ。