『西の魔女が死んだ』

西の魔女が死んだ (新潮文庫)
あらすじは、というと… その感受性の強さのあまり、学校へ行けなくなった中学生の少女。「まい」が、英国人である祖母のもとで、日々をすごし、その“ゆっくりとした、丁寧な暮らし”と交流の中で“魂を再生していく”珠玉の物語…
もともと児童文学者協会新人賞、受賞作品ゆえ、洗練された、平易な文章。ディテール描写のみずみずしさと、輝きにあふれた世界観に感心してしまいました。
リアルさとファンタジー要素が、実にうまく共存してる部分が秀逸。ことに、死と真正面から向きあって、ここまで余韻の爽やかな物語が、かつて、あったでしょうか?
個人的には、ごく自然に「スローフード」とか「エコライフ」を実践してる祖母と、時代の子として、いっとき、そんな母親のライフスタイルに反発した娘(まいの母)の構図に、なにやら『大草原の小さな家』のローラと、その娘(先に、作家として成功)ローズの図を見るような気がしました。
それに、魔女って部分のニュアンスも素敵。ごく自然に超常現象と向きあう、ご先祖様のエピソード等々に、なぜか、ネット時代のランディさんの披露してくださったエピソードが連想されてならず「ああ、彼女もまた、魔女の末裔、だったのかもなぁ」な〜どと感じてしまったのでした。
特に「ああ、最近。ちょっと、心がお疲れ気味だなぁ…」って方に、とくにお薦めです。
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『セシルの週末・もしくは映画日記』*西の魔女が死んだ*